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契約書・利用規約

契約書

契約書は、当事者間の合意内容を記した重要な書類です。この記事では、契約とはそもそも何か、契約書を作成することの重要性、また、契約書の作成やチェックを弁護士に依頼するメリットについてお伝えします。

そもそも契約とは

そもそも、契約とは、当事者間における意思表示の合致によって成立する法律行為をいいます。単なる約束と違うのは、契約によって発生した権利を実現するために、裁判所に訴えて判決をもらい、強制執行をすることができるという点です。

契約書がなくても契約は成立する?

 契約は意思表示の合致ですから、「契約書」のような書面がなくても契約は成立します。裁判においても、契約書のとりかわしがなくとも契約の成立を認めた例は多数存在します(例えば、東京地裁平成29623日判決は、システム開発をする契約の成否について、当事者間におけるやり取りの経過を踏まえ、契約の成立を認めました)。しかし、口上や契約書以外での契約には多くのリスクが存在します。

契約自由の原則と制限(強行法規、公序良俗違反)

契約において定める内容は基本的に自由です(契約自由の原則)。

しかし、全くの無制限というわけではなく、例外的に、強行法規や公序良俗による制限が存在します。

強行法規というのは、それに違反する合意内容を無効とするものです。例えば、企業間の契約においては、下請法(下請代金支払遅延等防止法)があります。

同法は、親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるために制定された法律です。そのため、同法で定められている買いたたき(発注した内容と同種又は類似の給付の内容に対して通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定めること)の禁止や支払期限の設定(対価の支払期限を、履行完了した日から60日以内とすること)は強行法規とされています。

消費者向けの事業であれば、特定商取引法や消費者契約法といった、消費者を保護すする趣旨から定められている法律による規制の多くが強行法規とされています。例えば、特定商取引法に定められているクーリングオフ(同法9条等)については、契約書において適用の排除を定めてもその条項は無効となります。

公序良俗というのは、「公の秩序又は善良の風俗」である(民法90条)ところ、これに反する法律行為は無効とされます。例えば、音楽事務所と実演家との間で締結された専属的マネージメント契約における、契約終了後の競業避止義務を規定する条項が、職業選択の自由ないし営業の自由を制約するもので公序良俗に反して無効であると判断された事例があります(令和41226日知的財産高等裁判所)。 

契約書を作成することの重要性

合意内容を明確にすることができる

書面による契約は、当事者間の合意内容を具体的かつ詳細に記録することにより、誤解や曖昧さの発生を防ぎます。これは、将来的なトラブルや誤解を避けるために不可欠であり、契約の各条項が両者の意図と期待を正確に反映することを保証します。

例えば、土地の売買契約を締結する場面であれば、当該売買の対象物、手付金の有無、支払期限、契約不適合責任のないよう、数量指示売買(実測売買)なのか、公簿売買(公簿面積と実測面積の差額を精算しない)なのか、各種合意内容を明確にすることで、誤解や曖昧さを防ぐことができます。

特約の明示が可能になる

契約内容は強行法規や公序良俗に反しない限り自由ですから、法律上の定めよりも有利な内容の特約を定めることができます。特約の定めは口頭でももちろん可能ではありますが、契約書に記載することで、言った言わないといったトラブルを防止でき、実効性を確保することができます。

例えば、裁判管轄(裁判をする場合にどこにある裁判所でおこなうか)、損害賠償の上限設定、契約不適合責任の免除や無催告解除など、相手との交渉次第では、こちら側に有利な取り決めをすることができます。

紛争の予防

合意内容を明示し、誤解や曖昧さの発生を防ぐということは、後々の紛争予防に大きく寄与します。また、契約内容についての疑問や不満が生じた場合でも、契約書は解決の基準となり得ます。

 例えば、もともとの契約があり、当該契約に付け加えたい事項がでてきた場合、別途「覚書」という形で新たな合意(これも契約の一種です)を書面に残すことがあります。この場合、当該覚書の条項がもともとの契約に定めた条項と矛盾・抵触する箇所が発生する可能性が生じます。この部分に手当をしておかないと、どちらが適用されるべきか、双方で意見が食い違い、紛争に発展するおそれが残ってしまいます。そこで、このような場合には「矛盾が生じる場合は本覚書の規定を優先し、本覚書に規定されていない事項については、原契約に従う。」といった条項を入れることで、矛盾・抵触をしないように手当をする事ができます。

証拠としての機能

契約書のような法律行為が記載された文書について、作成名義人の意思によって作成されたと認められるような場合、その文書(契約書)は、証拠として高い価値を有するものとして扱われます。そのような契約書が訴訟において提出されると、契約書に記載された内容での合意が成立したことについて、反証の余地は少なくなります。

押印の意味(二段の推定)

契約書が書面にて作成される場合、押印されることがほとんどだと思いますが、押印は法律上重要な意味を持っています。

本人の印鑑が使われたときには、その印は本人の意思によるものと推定され(1段目の推定)、その結果、押印された文書は、真正に成立した、つまり、当該文書が本人の意思により作成されたものと推定されます(2段目の推定。民事訴訟法2284項)。

なお、電子契約の場合にも、「本人による電子署名…が行われているときは、真正に成立したものと推定する」という規程(電子署名及び認証業務に関する法律第3)があり、2段目の推定について民事訴訟法2284項と同じような定めがなされています。

弁護士の必要性

ひな形を使っていれば大丈夫?

 「契約書 〇〇」と、目当ての契約書タイトルをいれて検索すれば、沢山のひな形がインターネット上で見つかります。それなりに当てはまりそうなひな形を使っていれば、問題ない、と思われるかもしれません。

たしかに、当事者間の関係が上手くっている間は何ら問題ないでしょう。

しかし、紛争となった場合、まずは「契約書に定められている内容」、すなわち双方の合意内容は何だったのか、これが最も基本的で重要な事項となります。紛争となってはじめて、ひな形を利用して作成した契約書をまじまじを確認すると、自社に不利な内容が定められていた、ということは残念ながら珍しくありません。

ひな形を作成するのが全て悪いこと、ということではありません。問題は、ひな形を使っていようがいまいが、自社の意図がしっかりと契約書に反映されているかどうかなのです。ひな形を使うのだとしても、最低限、以下の部分は抑えておきたいところです。

事業内容はマッチしているか

自社事業が業務委託だから、「業務委託契約書」とタイトルされているひな形なら大丈夫、とお考えではないでしょうか。

しかし、業務委託契約という言葉は非常に幅広く使われており、その分、ひな形も多種多様です。自社の手がける事業と契約書の内容がマッチしていないと、契約書としては不十分・不適切な場合が多いです。

法改正に対応しているか

ひな形だと、法改正に対応していない場合があります。例えば、令和2年の民法改正により、保証人に根保証をしてもらう場合には、極度額の定めをしなければならず、極度額の定めがない場合には無効となります(民法465条の22項)。古いひな形を使い続けていると、思わぬところでせっかく取り交わした内容が意味のないものとなってしまいます。

契約書の作成、チェックを弁護士に依頼するメリット

契約書の作成、チェックを弁護士に依頼するメリットは、先にお伝えしたような、事業内容とマッチしているか、法改正に対応しているかといったチェックはもちろんのこと、強行法規に抵触していないか、依頼者に不利な条項となっていないかなど、多角的な法的視点から契約書がチェック・作成されることが期待できることです。

当事務所では、これまでの経験を活用し、依頼者のニーズに合わせた契約書の作成、チェックを提供しております。是非ご相談下さい。 

 

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