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負債の処理に悩む法人代表・個人事業主の方へ
このような事でお悩みを抱えている方はいらっしゃいませんか?
「債権者から支払いの催促を受けているが支払えない…」
「債権者から訴えられてしまった…」
「資金繰りが苦しく、従業員の給与が支払えなくなりそう…」
「メインバンクへの返済について、リスケジュールをして元金の支払いを猶予してもらったが、その後の目処が立たずに猶予期間が終わろうとしている…」
「個人名義で借り入れをして法人の運転資金へ充ててきたが、個人の借入枠が一杯になってしまいそう…」
負債の処理についてはいくつか方法がありますが、この記事では、破産についてお伝えいたします。
破産という選択肢
破産とは
破産(=破産手続)を一言で言えば、債務者の財産を清算する手続です(破産法第2条1項)。その目的は、債務者の財産等の適正かつ公平な清算と、債務者の経済生活の再生の機会の確保にあります(同法第1条)。
破産手続開始の要件
破産手続を開始するには、支払不能(法人の場合は支払い不能又は債務超過)であることが必要です。支払不能というのは、債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいいます(破産法2条11項)。大雑把に言ってしまえば「約束通り払う能力がない」という状態ということです。
破産をすると何もかも失うのか?
「破産」という言葉はイメージが一人歩きしているようで、漠然と「全て失う」と考える方もいらっしゃいますが、実情は少々異なります。
法人の場合は破産手続の開始が解散事由でもありますので、破産手続を通じて法人の資産は基本的に全て清算されていくこととなります。
しかし、個人の場合はこれとことなり、一定程度の資産の保有が認められます。具体的には、現金は99万円まで、年金受給権その他生活必需品等の差押禁止財産も引き続き保有が認められます。自動車も、財産価値が低い場合は保有の継続が認められる場合があります。
法人が破産すると代表も破産する必要があるか?
法人と代表個人は別々の人格ですから、法人が破産しなければならないからといって、代表個人が破産する必要があるかというと、必ずしもそうではありません。もっとも、法人の債務を連帯保証しているような場合には、代表個人も支払不能状態にあるとして、一緒に破産手続を取ることが多いといえます。
法人について破産手続を取り、個人については別途、個人再生手続、経営者保証ガイドラインを利用した債務整理をする、といった別々の手段をとることが出来る場合もあります。詳しくはご相談下さい。
破産手続をとるメリット
取立ての停止
破産を受任した弁護士により、受任した旨の通知を各債権者へ送ります。これにより、債権者からの取立がとまります。
心理的プレッシャーからの解放
債権者からの取立がとまり、方針が定まることで、「どうしたらよいのか分からない」という心理的プレッシャーからの解放が期待できます。
経済的な立ち直りのチャンスを得られる
個人事業主の場合、免責許可を得ることにより、税金や健康保険料といった公的なものを除いた債務については支払義務を免れます。これにより、経済的な立ち直りのチャンスを得ることができます。
破産手続に踏み切る決断を先延ばしにするリスク
破産手続に踏み切るのはかなり勇気のいることだと思います。しかし、適切なタイミングで決断に踏み切らないと、思わぬ問題が抱える可能性があります。
破産にも費用が必要
破産手続を取るにも、裁判所に納める費用や弁護士に依頼するための費用が必要になってきます。
裁判所に納める費用や実費は、破産管財人(破産者の財産を調査・管理して清算手続を実行する役割を担う者)のための費用を含め、少なくとも25万円くらいは準備しておきたいところです。
また、法人破産の破産申立を代理する弁護士の費用は、ケースバイケースではありますが、少なくて50万円は準備しておきたいところです。
これらの費用が全く出せないということになると、破産手続に進むということもできなくなってしまいます。
破産手続開始直前の財産流出は高リスク
支払いに窮してくると、「どうしてもお世話になったあの債権者にだけは返済しておきたい」「あの債権者は怖いから先に完済しておきたい」といった気持ちから、破産手続の直前に返済しておく、という事をしておきたくなりますが、これはリスクの高い行為です。
破産手続は「適正かつ公平な清算」が目的とされており、簡単に言ってしまえば債権者のえこひいきは許されません。
支払い不能状態になった後に行われた弁済については、一定の条件を満たす場合、破産管財人による否認権行使を受け、支払われた金銭を戻さなければならない可能性があります。
つまり、良かれと思って行った弁済が、後で破産管財人により覆された結果、受け取った債権者は破産管財人にこれを返さねばならず、その債権者には余計な迷惑がかかってしまうという事態が起こりえるということです。
また、えこひいきの弁済は、場合によっては免責不許可事由にあたるため(破産法252条1項3号)、個人事業主がえきひいき弁済を行った場合は、破産による最大のメリットである免責を受けられなくなるおそれがあります。
解決までの流れ
相談実施
まずは、ご相談頂き、概ね以下の項目についてお話を伺い、方針を決定します。
債権者数、債務の額
税金等滞納の有無
法人・法人代表・個人事業主の方の資産状況
訴訟、差押の有無
事業の現状(事業が今も継続しているか、従業員はいるか等)
受任通知
弁護士が受任したこと、意向の窓口は弁護士になることを各債権者へ通知します。殆どの場合、この段階で法人・個人への直接の連絡は止まります。
なお、現に事業が継続中で、受任通知を発することで混乱を引き起こすおそれが有る場合などは、受任通知をだすことなく準備を進めることがあります。
申立準備
破産申立をするにあたっては、申立書や財産目録等、各種書類を作成して資料を整えて提出する必要があります。そのため、打合せを重ねつつ、資料収集をして、申立の準備を行います。
各種事情により、申立の準備にかかる期間はまちまちですが、緊急で申し立てる場合や、なんらかの事情で申立時期を延ばさざるを得ない場合といった例外的な場合を除けば、申立までの準備で3か月から半年くらいが多いかと思います。
申立て、破産手続開始決定(申立から数週間以内)
申立てが裁判所に受理された後、破産手続の開始決定が出ます。ここから破産手続が開始します。
法人の破産や個人事業主の破産の場合、破産管財人という、破産者の財産を調査・管理して清算手続を実行する役割を担う者が選任されます。
破産管財人との打合せ
破産管財人は破産者の財産を管理処分する権限があり、また、破産者の財産関係を調査することができます。破産者も破産管財人の調査に応じる義務がありますので、最低でも1回、破産手続開始決定後それほど間を置かずして、破産管財人と打合せを実施することになります。
債権者集会、配当、終結、免責
破産手続開始から2か月程度先の日に、債権者集会という期日が設定されます。ここでは、破産管財人により財産の管理状況、調査結果が発表されます。
破産管財人により収集された財産が、債権者に配当するほど集まらなかった場合には、手続は廃止されます。配当する程度に財産が集まった場合には、配当手続きに入ります。配当が実施され、清算が完了した場合には、手続きは終結となります。
個人の場合には、裁判所が免責に問題がないと判断した場合、免責許可決定が出されることとなります。
当事務所の体制
当事務所の弁護士は、これまで、数多くの破産手続申立を行い、また、破産管財人としても多数の破産手続に関わって参りました。その経験を生かし、適切かつ迅速な対応を行い、負債の処理に悩む法人代表・個人事業主の方のお手伝いをすることが可能です。是非お気軽にご相談下さい。