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「うちの会社は大丈夫?」パワハラを未然に防ぐ!企業のための予防策と弁護士の役割

なぜ今、パワハラ予防が重要なのか?

 「うちの会社にはパワハラなんて関係ない」

「うちはアットホームな雰囲気だから大丈夫」

そう思われている企業のオーナー様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、現在の日本では、連日のようにハラスメント問題が報じられ、社会全体のハラスメントに対する関心と従業員の権利意識はこれまでになく高まっています。
実際に相談にこられるケースでも、会社の雰囲気がとてもよく感じられるにもかかわらず、辞めた従業員からパワハラを訴える通知がきて対応に困っている、という相談がよくあります。

厚生労働省の統計データを見ても、「いじめ・嫌がらせ」に関する総合労働相談件数は、直近10年間常にトップを占めており、紛争リスクが増加していることが明らかです 。2022年4月からは、中小企業においてもパワハラ防止措置を講じることが事業主の義務となり、もはや「関係ない」では済まされない時代になったのです。

パワハラは、被害者の心身の健康に重大な影響を及ぼすだけでなく 、職場の士気を低下させ、生産性を損ない、企業の信用失墜にもつながる深刻な問題です 。そして何より、一度トラブルが顕在化してしまうと、その対応にかかる時間的・金銭的コストは計り知れません。

本記事では、パワハラが企業にもたらす具体的な影響を解説し、未然に防ぐための実践的な予防策、そして、万が一の事態に備え、また予防法務を強化するために「弁護士」をどのように活用すべきかについて、中小企業のオーナー様の視点から詳しくご説明します。

パワハラが企業にもたらす深刻な影響

パワハラを放置することは、「よくあること」では済まされない、企業存続に関わるリスクをはらんでいます。

人材の流出と採用難の加速

パワハラが横行する職場からは、優秀な人材から順に離れていきます 。離職した従業員の口コミやインターネット上の情報が広がることで、企業の評判は低下し、新たな人材の確保が極めて困難になります。

生産性の低下と競争力の喪失

パワハラは被害者だけでなく、職場全体のモチベーションを低下させます 。萎縮した従業員は意見を言わなくなり、風通しが悪化し、ミスの隠蔽にもつながりかねません 。結果として、組織全体の生産性が落ち込み、企業の競争力は確実に失われます。

高額な賠償請求と法的な責任

パワハラを放置したり、適切な対応を怠ったりすると、企業は被害者から損害賠償請求を受けるリスクがあります 。過去には、パワハラが原因で従業員が自殺に至り、会社と代表者個人に数千万円もの賠償が命じられた事例も存在します 。

社会的信用の失墜

 一度「ブラック企業」というレッテルを貼られてしまうと、そのイメージを払拭するのは容易ではありません。顧客、取引先、金融機関からの信用を失い、事業運営全体に深刻な悪影響が及びます。

これらの影響を考えれば、パワハラ問題は「起きてから対応する」のではなく、「いかに未然に防ぐか」という予防の視点が極めて重要であることがお分かりいただけるでしょう。

パワハラを未然に防ぐための具体的な予防策

パワハラを予防し、健全な職場環境を築くためには、組織全体としての取り組みと、個々の従業員の意識改革の両面が不可欠です。

就業規則等の規定整備と周知・啓発

パワハラ防止の第一歩は、企業として「パワハラは許さない」という明確な方針を打ち出し、それを全従業員に周知することです。

方針の明確化と周知

パワハラの具体的な内容(身体的・精神的な攻撃、過大な要求、個の侵害など6類型)、パワハラが発生した場合の厳正な対処方針を、就業規則や社内報、パンフレットなどに明記し、従業員に配布するなどして周知徹底します。トップからのメッセージ発信も非常に重要です。

懲戒規定への組み込み

就業規則に、パワハラを行った者に対する懲戒規定(口頭警告、減給、降格、解雇など)を具体的に定め、その内容を従業員に周知・啓発することが必須です。懲戒事由を定めていなければ、いざという時に適切な処分を適用できません。

相談体制の整備

パワハラ問題を早期に発見し、解決するためには、従業員が安心して相談できる窓口を設けることが不可欠です。

相談窓口の設置

社内に相談担当者を定めるか、外部の弁護士、社会保険労務士などの専門家に相談対応を委託することも有効です。外部に委託することで、従業員はより客観的で公平な対応を期待でき、相談へのハードルが下がります。

適切な相談対応

相談窓口の担当者は、相談内容や状況に応じて、人事部門などと連携できる仕組みを整える必要があります。相談者の心身の状況に配慮し、秘密保持を徹底するとともに、必要に応じて被害者と行為者の就業場所を隔離するなどの緊急措置を講じることも検討しましょう。

定期的な研修の実施

パワハラに対する意識を高め、適切な業務指導のあり方を学ぶためには、定期的な研修が非常に有効です。

管理職研修

管理職は「業務上必要かつ相当な範囲」で行われる適正な業務指示や指導はパワハラに該当しない ということを理解しつつも、その手段や態様によってはパワハラになり得る ことを学ぶ必要があります。部下への指導・育成は上司の役割であり、相手の性格や能力を十分に考慮し、言動の受け止め方が世代や個人によって異なる可能性があることを認識させることが重要です。

一般従業員向け研修

パワハラの定義や具体例、相談窓口の利用方法などを学ぶことで、従業員全体のハラスメントに対する意識を高めます。これにより、「何でもパワハラ」と捉えてしまう「パワハラ症候群」のような状況を防ぎ、適切な業務指導との線引きを理解する効果も期待できます。

弁護士による研修の実施

労働問題に精通した弁護士による研修は、法的な視点からパワハラを深く理解し、より実践的な対応策を学ぶ上で非常に効果的です。

コミュニケーションの促進と風通しの良い職場づくり

パワハラは、コミュニケーション不足や孤立した環境で発生しやすい傾向があります。

双方向コミュニケーション

上司と部下の間で建設的な対話が不足していると、不満や誤解が蓄積しやすくなります 。傾聴の姿勢を心がけ、従業員が安心して意見を言える環境を整えることが重要です 。

アンケートの実施と意見の吸い上げ

定期的に従業員アンケートを実施し、職場の状況やハラスメントに関する意見を吸い上げることで、潜在的な問題を早期に発見し、対応することができます 。

指導相談体制の構築

管理職が「これはパワハラになるのか?」と悩んだときに、気軽に相談できる体制を整えることも重要です 。これにより、適切な指導とパワハラの線引きを学び、トラブルの未然防止につなげられます 。

適切な業務指導のポイント

業務上の指導がパワハラと受け取られないためには、指導する側の工夫が必要です 。

人格否定を避ける

指導の目的は、従業員の成長を促すことです 。人格を攻撃するような言動は避け、問題のある行動や業務の進行状況に焦点を当て、具体的な改善策を示しましょう 。例えば、「頭悪いな」といった表現は、従業員の存在価値や人格否定につながるため避けるべきです。

適切なタイミングと場所

公の場で大声で叱責することは、見せしめと捉えられ、精神的な負担を大きくします。指導は、できるだけプライベートな環境で、冷静かつ短時間で行うことが大切です 。

建設的なフィードバック

単に批判するだけでなく、期待する行動や改善点を明確に伝えることで、従業員が次に取るべき行動を理解できるように導きましょう 。

弁護士に相談するメリット

パワハラ予防と対策において、弁護士の存在は中小企業のオーナー様にとって非常に心強い味方となります。

予防法務の強化

パワハラに関する法改正や最新の判例動向は常に変化しています。弁護士は、これらの専門知識に基づき、就業規則や各種規定のリーガルチェック・作成支援 、ハラスメント防止規程の策定など、トラブルを未然に防ぐための予防法務をサポートします 。

事実確認と適切な処分のサポート

パワハラの疑いが生じた際、迅速かつ公平な事実確認は非常に重要です 。弁護士は、被害者や関係者からのヒアリング方法、証拠保全 、そしてパワハラが確認された場合の懲戒処分(解雇を含む)の妥当性や手続きの適法性について、法的な観点からアドバイスを提供します。不当解雇や不相当な処分による新たな紛争リスクを回避できます 。

再発防止策の提案と研修実施

パワハラ問題の解決後も、再発防止は継続的な課題です。弁護士は、貴社の状況に応じた効果的な再発防止策を提案し、従業員向けのコンプライアンス研修などを実施することで、職場全体のハラスメントに対する意識をさらに高めることができます。

紛争発生時の代理交渉・訴訟対応

万が一、パワハラ問題が労働審判や訴訟に発展した場合でも、弁護士は貴社の代理人として、交渉や法的手続きを遂行します。法的な知識と経験に基づき、適切な解決を目指します。

経営者の精神的・時間的負担の軽減

パワハラ問題は、経営者にとって精神的に大きな負担となり、多くの時間と労力を要します。弁護士に相談することで、これらの負担を軽減し、経営者は本来の業務に集中することができます。

当事務所には、労働問題に精通し、パワハラ問題に対する豊富な解決実績を持つ弁護士が在籍しています 。社会保険労務士の資格も有する弁護士が対応するため、制度設計といった事前対応から、実際にトラブルが発生した際の紛争対応までを一貫してサポートすることが可能です 。

企業における従業員のパワハラに関するお悩みは当事務所にご相談下さい

パワハラは、従業員の健康と企業の未来を脅かす重大なリスクです。トラブルになってから慌てて対応するのではなく、予防策に早期から取り組むことが、企業の持続的な成長には不可欠です。
「うちの会社は大丈夫だろうか?」「何から手を付けたらいいか分からない」、どんな些細なことでも構いません。パワハラ問題にお困りの際は、決して問題を放置せず、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。プロフェッショナルな視点から、貴社に最適な解決策を共に考え、安心できる職場環境づくりを力強くサポートいたします。

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