
目次
不動産業界によくある企業トラブル事例
不動産取引においては、以下のような企業間・対顧客トラブルが相談として持ち込まれます。
売買契約に関するトラブル
契約解除の条件、引渡し後の契約不適合責任などを巡る紛争。
賃貸借契約に関するトラブル
契約の解除、原状回復義務の範囲、敷金返還、賃料滞納、無断転貸などを巡る紛争。
媒介契約に関するトラブル
仲介手数料の算定根拠や支払い時期、不動産業者の調査義務・説明義務違反などを巡る紛争。
近隣トラブル・境界紛争
騒音、日照阻害、越境物などを巡る近隣住民とのトラブルや、土地の境界線を巡る紛争。
不動産業界によくある労務トラブル事例
また、当事務所が特に力を入れている労務問題についていうと、不動産業界にありがちなトラブルとしては以下のようなものがあります。
長時間労働・残業代未払い
不動産業、特に営業職では、顧客の都合に合わせた対応(土日祝日の出勤、夜間の案内など)が求められるため、労働時間が不規則かつ長時間になりがちです。また、成果主義を重視するあまり、「固定残業代制(みなし残業代制)」や「歩合給制」を導入している企業も多いですが、これらの制度の運用を誤り、実質的な残業代が支払われていないケースが散見されます。
ハラスメント(パワハラ・セクハラ・カスハラ)
営業目標達成へのプレッシャーや、昔ながらの体育会系気質が残る職場では、パワーハラスメントが発生しやすい傾向があります。また、顧客からの過度な要求や理不尽なクレーム(カスタマーハラスメント)も、従業員の大きな精神的負担となり、メンタルヘルス不調や離職の原因となります。
メンタルヘルス不調
長時間労働、厳しいノルマ、顧客とのトラブル対応、職場の人間関係などが原因で、精神的に不調をきたす従業員は少なくありません。企業には安全配慮義務があり、従業員のメンタルヘルス対策を怠ると、損害賠償責任を問われる可能性があります。
退職・解雇に関するトラブル
能力不足や協調性の欠如などを理由に従業員を解雇しようとして、不当解雇として紛争になるケースや、退職した従業員による営業秘密の持ち出し、顧客の引き抜きといったトラブルも発生し得ます。
弁護士への相談がもたらす具体的な解決とメリット
これらの複雑な企業トラブルや深刻化しやすい労務トラブルに対し、弁護士にご相談いただくことで、経営者の皆様は具体的な解決策と多くのメリットを得ることができます。
企業トラブルへの対応力強化
売買契約トラブルへの対応
弁護士は、契約締結前の段階から契約書や重要事項説明書の内容を精査し、将来の紛争リスクを低減します。「契約書を使い回ししていたら法改正に追いついておらず、不十分な内容になっていた」というような事態を回避できます。
賃貸借契約トラブルへの対応
賃料滞納者に対しては、内容証明郵便による督促から、交渉、法的手続き(支払督促、訴訟)を経て強制執行に至るまで、迅速かつ確実な回収を目指すサポートが可能です。また、契約解除や明渡し請求、原状回復に関するトラブルにおいては、契約内容や関連法規に基づき、貸主・借主双方の権利義務を明確にし、円滑な解決を目指します。
媒介契約トラブルへの対応
媒介契約書の内容を事前にリーガルチェックすることで、仲介手数料に関する紛争や、宅地建物取引業法に基づく説明義務違反等のリスクを未然に防ぎます。万が一紛争が発生してしまった時には、貴社の代理人として相手方と交渉し、法的に正当な解決を図ります。
近隣・境界紛争への対応
感情的な対立が生じやすい近隣トラブルや境界紛争においては、弁護士が第三者として冷静に法的観点から状況を整理し、相手方との交渉を代行します。交渉で解決しない場合には、筆界特定制度の利用、ADR(裁判外紛争解決手続)の活用、あるいは訴訟提起など、事案に応じた適切な解決手段を選択し、実行します。
労務トラブルへの実践的サポート
長時間労働・残業代問題の解決
実情に即した適法な労働時間管理体制の構築を支援します。固定残業代制度や歩合給制度を導入する際には、労働基準法に準拠した適切な設計・運用方法をアドバイスし、未払い残業代請求のリスクを最小限に抑えます。万が一、従業員から残業代を請求された場合には、請求内容の妥当性を精査し、交渉、労働審判、訴訟といった法的手続きにおいて貴社を代理します。
ハラスメント問題への対応
ハラスメント防止規程の策定や、従業員・管理職向けの研修実施を通じて、ハラスメントの発生しにくい職場環境づくりをサポートします。実際にハラスメントが発生した疑いがある場合には、公平な立場での事実調査、被害者・加害者双方からのヒアリング、適切な懲戒処分の検討など、法的に問題のない対応を助言します。カスタマーハラスメントに対しては、従業員を守るための対応マニュアル作成や、悪質な場合には法的措置も検討します。
メンタルヘルス問題への対応
企業が負うべき安全配慮義務の観点から、職場環境の改善策(長時間労働の是正、業務負荷の軽減、相談窓口の設置など)を具体的に提案します。従業員がメンタルヘルス不調により休職する際には、休職中の対応や復職支援プログラムの導入、労災申請の可能性についてもアドバイスを行います。
退職・解雇問題への対応
従業員の解雇に際しては、解雇理由の正当性や手続きの適法性が厳しく問われます。弁護士は、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇など、それぞれのケースに応じた適切な手続きを指導し、不当解雇リスクを回避します。円満な退職勧奨の進め方や、退職合意書の作成もサポートします。また、退職する従業員に対しては、競業避止義務や秘密保持義務に関する誓約書を適切に締結させることで、情報漏洩や不正競争のリスクを低減します。
顧問弁護士という継続的なパートナーシップの価値
トラブルが発生するたびに弁護士を探すのではなく、顧問弁護士として継続的に関与させていただくことで、企業経営にはさらに大きなメリットが生まれます。
予防法務による「転ばぬ先の杖」
顧問弁護士は、日常的に発生する法律問題(契約書のチェック、新規事業の法的リスク検討、社内規程の整備など)について、気軽に相談できる相手となります。不動産業界に関連する法改正や最新の判例動向といった情報提供も行い、トラブルを未然に防ぐ「予防法務」を強化します。問題が小さいうちに適切な対応をとることで、大きな紛争へと発展するリスクを大幅に軽減できます。
迅速かつ的確な経営判断のサポート
何か問題が発生した際、あるいは経営上の重要な判断を迫られた際に、顧問弁護士がいれば、社内の事情を理解した上で、迅速かつ的確な法的アドバイスを受けることができます。これにより、経営者の皆様は安心してスピーディーな意思決定を行うことが可能になります。
企業全体のコンプライアンス意識向上と信頼構築
弁護士が継続的に関与することで、社内全体のコンプライアンス(法令遵守)意識が高まります。これは、従業員が安心して働ける職場環境づくりに繋がるだけでなく、取引先や金融機関、そして顧客からの企業に対する信頼を高める効果も期待できます。
コスト効率の高い法務体制の実現
紛争が深刻化してから弁護士に依頼する場合、多額の費用と時間が必要となるケースが少なくありません。顧問契約により、日常的な相談を通じて紛争を予防し、早期に問題を解決することで、結果的に法務コストを抑制することができます。また、その都度弁護士を探す手間や時間を省くことができるのも大きなメリットです。
不動産業に関するお悩みは当事務所にご相談ください
不動産業界を取り巻く法的問題は多岐にわたり、専門的な知識と経験が不可欠です。当事務所では、不動産業界の慣行や特性を深く理解した弁護士が、経営者の皆様の良き相談相手となり、直面する課題の解決を力強くサポートいたします。
「こんなことを相談しても良いのだろうか」「まだ具体的なトラブルにはなっていないけれど、少し心配なことがある」といった初期の段階でも、どうぞお気軽にご連絡ください。貴社の状況を丁寧にお伺いし、具体的な法的アドバイスや、今後の進め方についてご提案させていただきます。