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製造業の業界特徴と課題
製造業は、日本経済全体において重要な役割を果たしています。国内総生産(名目)に占める製造業の割合は約20%であり、依然として主要産業の一角を担っています。東京都の製造業は、全国指折りの規模を誇ります。多摩地域の事業所数は東京都全体との割合ではそう多くありませんが、製造品出荷額(従業者4人以上)となると都全体の半分を占める程になります。
もっとも、製造業の従業者数は減少しています。少子高齢化や「きつい仕事」というイメージがあるためか、人手不足という課題があります。
製造業に起こりがちな労務問題
未払残業代問題
製造業は、需要変動に応じて稼働時間が変化しやすく、納期が差し迫る繁忙期では残業が発生することが多くなります。そのため、未払残業代問題が生じやすくなります。慢性的な人員不足により日常的な残業が生じている、という事業所もあるかもしれません。
また、適切な勤怠管理が実施されていなかったり、みなし残業制の誤った運用や、名ばかり管理職に残業代を支給しないでいる、といった状況があると、よりトラブルが生じる可能性が高くなります。
ハラスメント問題
製造現場においては従業員同士でコミュニケーションを取りながら業務を進めることが多いと思われますが、その分、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントといったハラスメント問題が発生しやすい環境にあると言えるかも知れません。
男女問わず、職場での不適切な発言や行動がセクハラ問題に発展する例があります。男性比率の高い職場だったりすると、女性従業員が孤立しやすく、その環境がセクハラリスクを高めることがあります。
また、パワハラは、行き過ぎた業務指導がパワハラとして訴えられるケースがあります。
非正規雇用の待遇に関する問題
製造業では多くの現場で非正規雇用者が稼働しています。非正規雇用者と正規雇用者の待遇差に関する問題や、雇止めに関する問題は、事業主側として対応しなければならない問題です。
労災に関する問題
製造業は、機械や重機を使った作業が多く、その分労災事故が起こりやすい環境といえます。製造業は、労災事故件数がもっとも多い業種です。事故の型別では、機械等による「はさまれ・巻き込まれ」が最多とのことです(いずれも「令和5年労働災害発生状況の分析等」より)。
製造業に起こりがちな労務問題の対策ポイント
労務問題がもたらす影響
これらの問題を放置して対策を怠ると、従業員の不満や離職を招くだけでなく、次のような経営リスクを伴うこととなります。
損害賠償請求
労働基準監督署による指導や処分
社会的信用の低下
生産性の低下や競争力の喪失
したがって、労務問題の予防や早期対応は、企業経営の安定にとって不可欠であるといえます。
労務問題の対策ポイント
労務問題の対策としては、事前の制度見直しや適切な体制づくりが欠かせません。
残業代
残業代の問題でいえば、労働時間を正確に把握するために、タイムカードや勤怠管理システムを導入することは必要不可欠といえるでしょう。また、みなし残業代の適切な運用ができているか、名ばかり管理職ではないか、といった、現行の制度について就業規則や労働条件通知書・雇用契約書の見直しも有用です。
ハラスメント問題
ハラスメント防止のための研修や、就業規則の改訂、ハラスメント問題に対しては毅然とした対応を行う旨の代表者からの方針の明示、相談窓口の設置等を通じて、ハラスメントに関するトラブルの発生を未然に防止します。これにより、従業員が安心して働ける環境を整えます。
非正規雇用の待遇に関する問題
契約書や就業規則を定期的に見直し、最新の法規制に対応した内容に改訂することで、待遇格差を解消します。
労災に関する問題
作業環境の安全性を向上させるために、定期的な設備点検や安全教育の実施を徹底します。これにより、事故のリスクを最小限に抑えられます。
労務トラブルは誰に相談すべき?
弁護士と社労士の違い
社労士は、労働基準監督署対応や就業規則の作成・改訂、各種届出など、労務管理の専門家です。
弁護士は、トラブルが訴訟に発展した場合や、紛争の予防を視野に入れた対応を得意としています。
どちらに相談すべきか
制度整備や予防策が必要な場合は社労士又は弁護士に相談すべきかと思います。実際にトラブルとなり交渉や訴訟対応が必要となると、紛争を業として取り扱えるのは原則弁護士のみですので、このような場合は弁護士に相談するべきです。
当事務所の労務サポート
当事務所では、製造業特有の労務課題に対応するため、以下のサポートを提供しています
就業規則や労働契約書のチェックおよび改訂
最新の法改正や判例を踏まえた書類の整備を行います。
ハラスメント防止や労務管理の研修
経営層や現場リーダー向けに実践的な研修を実施します。
紛争対応
交渉や訴訟、労働審判における代理人業務を担当し、迅速な解決を図ります。
当事務所の特徴
社労士の資格を有する弁護士が対応するので、事前対応から紛争対応までを一括でサポート可能
弁護士と社労士の違いは前記のとおりですが、当事務所は社労士の資格も有する弁護士が対応します。そのため、企業の労務問題を一貫してサポートできます。
紛争が労働審判や裁判に発展した場合、社労士資格のみを有する専門家では対応が難しくなります。一方、弁護士資格を持つ場合は裁判所対応も可能であり、紛争がどの段階にあってもスムーズに引き継ぎ対応ができます。
当事務所では、社労士資格を有する弁護士に相談することで、紛争予防から訴訟対応までを一貫して対応できる強みを活かし、企業の労務トラブルに総合的かつ柔軟に対処できます。これにより、企業の経営リスクを最小化し、安心して事業を推進する基盤を築くことが可能です。
労務問題でお困りの際は、ぜひ当事務所への相談をご検討ください。